【注意喚起】ヤフオクや金券ショップで売られている「まんだらけ株主優待券」は使用済みの恐れがあります

東証スタンダード(旧二部)上場で、漫画、アニメグッズ、同人誌等の中古販売店を営む「株式会社まんだらけ」は、年一回(9月権利)、株主優待券を発行しています。株主優待券は全国のまんだらけ店舗で買い物に使用できる商品券です。

まんだらけ株主優待
本券は使用済み


当社のIRページにはろくに情報がないのでYahoo!ファイナンスを貼っておきます。

100株以上  1年未満:2,000円分    1年以上:5,000円分
500株以上  1年未満:4,000円分    1年以上:10,000円分
1,000株以上  1年未満:7,000円分    1年以上:20,000円分
5,000株以上  1年未満:10,000円分   1年以上:50,000円分

まんだらけ株主優待券」は「まんだらけπ」に変換して使うことができる

この優待券(商品券)は紙の券ですが、去年発行(有効期限2022年末)のものから、そのまま使う以外に「まんだらけπ」という電子商品券に変換して使用することができるようになりました。iTunesカードやamazonギフト券と同じように、券裏面の番号(πNo.)をアプリ等に入力すると金額が「まんだらけπ」の残高に変換され、店舗でのバーコード決済や通販で使用できます。


まんだらけπ

ちなみに私はよく通販を利用するのですが、決済手段を選ぶ画面でまんだらけπを選ぶ項目がないので使用方法がわからず問い合わせたことがあります。


(深夜にメールしてすぐ返事が返ってきたのはありがたいですが、深夜1時45分に返信がくる会社は恐いです。)


最初の注文時はクレジットカードを選択しておいて、後刻、在庫確認後に改めて支払いを確定するときにまんだらけπが選択できるようになっています。これがわからずに私は手元の優待券をずっと使わずに寝かせていました。

ヤフオクやメルカリでうっかりπNo.を流出させる人も

この優待券、ヤフオクやメルカリや一部の金券ショップでも流通しています。

ヤフオク
メルカリ


ところが、出品画面に券裏面の画像をそのまま掲載してπNo.を流出させてしまう人をたまに見かけます。

メルカリ 黒の塗りつぶしはこちらで入れました。


πNo.がわかれば誰でも「まんだらけπ」として使用できてしまう(そして商品券は無効となる)のですが、そのことを知らない人が多くいます。πNo.が流出した券は他人に先に使われてしまう可能性があります。

まんだらけπヘルプ


まんだらけπに変換していても表面上はわかりませんので、ヤフオクや金券ショップで手に入れた優待券が有効に使える保証はありません。極端な話、元の持ち主が「まんだらけπ」として使った後、何食わぬ顔でヤフオクや金券ショップで売り捌くことも可能です。非常に危険な状態だと思います。

通販で使えば身元が特定されるのでそんなことをする人はいないのではないかと思いますが、捨て垢を作ってアプリに登録し店舗で使ってしまえば足がつかないのではないかと思います。(当然ですが犯罪です。)



優待券の有効性の保証をしない悪質な業者を発見

私はたまにヤフオクやメルカリを巡回して、πNo.を流出させている人を見かけるとコメントして教えてあげています。今まで私がコメントした人は漏れなく出品を取り消していました。


これは以下の出品の質問欄です。

マスク無しでπNo.を掲載していた画像がそのまま残っています。


この出品者はヤフオク!にストア出品している中古品販売業者ですが、なんと私の忠告後に券裏面にマスクを施して再出品しました。


意味を理解していないのではないかと思い、私が落札することにしました。券が使用できなかった場合、返金してもらえるのか尋ねたところ、驚くことに、商品説明に記載しているので「返品返金は対応しない」と言い切り、そして私の落札を取り消して取引をキャンセルしました。


その後、三度再出品し、12日終了予定で現在もオークションを続行中です。

ヤフオク! - 【AKBD2044】まんだらけ 株主優待券 5 000円分 ...



仮に商品券が使用済みで無効であれば価値はゼロですが、商品説明に記載しているので返品返金には応じない、と主張しています。しかし、商品説明には使えない場合があるなどということは記載されておらず、そのようなことがあるとは通常の人は想定しないことです。しかも個人ではない、専門の古物商の許可を持つ業者でありながら、この対応は悪質であると判断しましたので、ヤフオク!運営には以下の内容でメールを送信しています。
なお、公益性があり周知の必要があることから業者名等をそのまま掲載します。

当該出品者(株式会社エンパワー 古物商許可業者)は以前に、商品券の番号(πNo.)を商品画像として掲載したまま出品し、当方の質問欄からの指摘により当該出品を取り消しました。
その後、番号(πNo.)をマスクし再出品(u1074318363)を行い、当方が落札しました。
この商品券は番号(πNo.)をアプリ等に入力すれば券の実物がなくても電子的に使用できるため、番号の流出により既に無効となっている可能性のあるものです。
その点を当方が指摘したところ、当該出品者は「商品説明・注意事項に掲載しておる内容に同意頂いていると認識しております。」と述べ、仮に当該商品券が無効であっても返金を行わない旨返答しました。
なお、商品説明には番号が流出しているものであることは一切記載されておりませんでした。
これでは商品券の価値が担保されておらず詐欺同然であります。
当該取引は、その後出品者によりキャンセルされたため金銭的被害は発生しておりませんが、このような回答を行う時点で詐欺未遂の悪質な出品者であると判断せざるを得ません。

ヤフー!運営から当該業者に対し警告をして頂くよう求めます。

4630万円誤送金事件の法的な考察2 町に振込まれた金を町が回収できるかはまだわからない

普段全くアクセスがないブログなので宣伝しないと届くかわかりませんが、せっかく書いたのでこの事件に関心がある全ての人にこの記事が届けばいいと願っております。

町(中山弁護士)の会見を見れば大体の疑問は解決する

前回の記事(最初の更新から追記した部分も多いので再度ご覧ください。)のブコメにも頂いておりました。

ireire 他新聞記事のブコメにもみられてたが、会見の動画見てない人多すぎないか 代理人の説明部分で丁寧に説明してるのに 【LIVE】4630万円誤送金問題 山口・阿武町 花田町長会見(2022年5月24日) https://youtu.be/KyOs6kgZD4c


2時間もあり、つい手抜きをして文章で要約されたものを見ることに逃げてしまいましたが、町の代理人である中山修身弁護士がかなりの疑問に対して直接答えておられました。

新聞記事やテレビの報道なんかでは、法的専門知識がない人が書いている*1、一般に伝わるよう要約する必要がある関係で細かいことはオミットされてしまって全然伝わってこないですね。


記事内に会見のYouTube(TBS報道)を貼りました。
会見は12:50頃から。中山弁護士の説明は16:00頃から。58:00〜あたりで4300万円の行方について詳しく説明しています。最も核心的な部分と私が考えるのは1:16:00あたりです。この問題に関心のある人は意見する前に見るべきです。


余談1

それから、前回の記事についたブコメで特に新たな知見のない「いかがでしたか」blogと呼ばれましたが、私の記事は既知の情報をまとめた以上に、国税徴収法まわりの解説や、町が現在受け取っていてる4300万円は不当利得であるという指摘は、私が見た限りネット上の識者の誰も書いていないかなり独自色の強い主張だと思っていたのでとても不思議な感想でした。

大体、国税徴収法なんてものはかなり特殊で専門的な法律なので弁護士でも読んだこともない人は珍しくないと思います。テレビで解説してた弁護士も国税徴収法の差押には裁判所の許可が必要ないことを知らずに間違って解説していましたし、以前に見た男に対する課税関係の解説も堂々と間違ったことを言っているコメンテーターがいました。弁護士も専門分野は様々ですし税金に関してほとんどの弁護士は素人同然ですからね。

余談2

ついでにSNS上のコメント(含むはてなブックマーク)について言えば、根拠もなくもう滅茶苦茶なこと言ってますよね。見るに耐えない酷いもんです。町に4300万円振り込まれたニュース *2に対して、保険でカバーされたとか、業者が債権を買い取ったとか、司法取引したとか、どれもあり得ません(違法又はビジネス的に非合理)。私も決済代行会社が4300万円も自腹切るとかあり得ない(払ったからといって警察の捜査(賭博罪、犯収法関係)から逃れられるわけではないので)と書いていたので、まぁあり得ないことが起きることもあるわけですが*3

余談3

この事件がここまで注目されている理由は、起きた事件(誤って振り込みした)のシンプルさに対して、想像以上に複雑な法律関係が絡んでややこしく、実務家・法学者の間でも見解が分かれているところが法に関心のある人には大変興味深いからです。大部分の人にとっては野次馬的なワイドショー的な関心であろうとも思いますが。


本題 町に振込まれた金を町が回収できるかはまだわからない

前回の記事で私が整理したポイントは基本的に変わっていませんので再掲します。

①町が差押したのは本件誤送金(4630万円)とは無関係のもともとあった誤送金男の滞納税金(追記:軽自動車税国保税あたりか)。
国税徴収法に基づく差押は裁判所の許可なく徴税官吏が自力執行できる強力な権利。
国税徴収法という名前だが地方税法48条他により地方自治体の税務職員も執行可能。
④滞納税額は誤送金額(4630万円)に比べわずかな金額と思われるので、超える部分(残余金)については改めて不当利得返還請求により確定した債権に基づく差押が必要。(追記:誤送金男の認諾により債務名義が確定しているため民事執行法に基づく差押済み→配当を受ける予定。)
⑤決済代行会社が差押税額を超えてほぼ全額を町に送金してきた理由は不明。
⑥そもそも差押えた債権自体が存在しなかった可能性があるが、決済代行会社3社はとにかく町に4300万円を送金した。
⑦その場合、今度は町が不当利得を得たことになる。
オンラインカジノ運営会社と決済代行会社が事実上一体であり、賭博罪や犯罪収益移転の罪に問われる可能性(弁護士が指摘する「公序良俗に反する取り引き」)があるため金を返して終わりにしたかった可能性。
⑨その場合も金を返したからといって罪がなくなるわけではない。


動画の最後で1:54:00 あたりから中山弁護士が強調しておられるように、「法的に確保した」の意味は「差押をして町の口座に入金がされた。」という事実のみを指しており、まだ町が回収(合法的に町の収入として計上すること。)できることが確定したわけではありません。「残余金95*4はまだ彼(誤送金男)のお金なので、他の債務名義を持った債権者*5から通知があり持っていかれる可能性もある。最終的な配当が確定しないとわからない。」という趣旨のことを言っておられます。


解説:差押手続というのは差押した者がそのまま受け取れるわけではありません。差押された財産(現金以外の財産は競売等で換価された後)は、他の債権者からの申立てを経て、国税徴収法及び滞納調整法(滞納処分と強制執行等との手続の調整に関する法律)に従って優先順位が決定され、上位者から順に配当されます。
参考: 国税庁『税大講本 国税徴収法(令和4年度版)』p.61以下




なによりの問題は、前段で書いた前提をひっくり返してしまいますが、町に送金された4300万円が、誤送金男の財産(債権)と言えるかは疑問ということです。(ポイントの⑥⑦)
中山弁護士は、誤送金男と代行会社(甲乙丙)の間に委任契約があったと考え、代行会社(甲乙丙)名義の口座を誤送金男(T)の口座(債権)とみなして国税徴収法に基づき行政決定により差押をかけた。ということですが、ここは法的な立論においてかなり無理をしていると考えます。
私もオンラインカジノの事情に詳しくないのでわかりませんが、送金代行会社というのはカジノへの賭け金を送金するためだけに存在するので、普通に考えれば代行会社に払った金は即カジノに出金されてしまい金額は残っていないと思われます。またカジノに一度入れた金は賭けないと払い戻しはできないというのが一般的なのではないでしょうか。と考えれば、送金された4300万円は誤送金男の金ではなく代行会社自身の金です。

中山弁護士の一番の仕事は金を回収することなので取り得るあらゆる手段を取った結果*6、功を奏したわけですが、代行会社から回収できるかはダメ元だったのではないでしょうか。

1:15:00〜1:17:00あたりで「男の金が使われずに残っていて取り立てができたのか?」と聞かれ、中山弁護士は、「いいえ。Tの金ではない」「Tとその弁護人は使って残っていないと答えている。」「代行会社に入れたその先の金の流れは調査能力がないのでわからない」と答えています。
代行会社(甲乙丙)に差押を行なったが、「甲乙丙は債権は0ですと回答して来てもおかしくはなかったが、なぜか彼らは満額払ってきた。理由はわかりません。」と答えています。謙遜とかとぼけているのではなく、本心だと思います。
やはり自らに警察の捜査の手が及ぶのを後ろめたく感じた代行会社が差し押さえた金額以上を勝手に払って来たのであって、金が返ってきたのは結果オーライで、ラッキーでしかないのだと思います。何もわかっていないネットの声では、中山弁護士が国税徴収法を駆使して計算づくで4300万円を差押えたかのように言っていますが、中山弁護士としては差押えたのは滞納税金だけだったと思います。

カジノで使ったはずの4630万円、なぜ9割も回収できたのか…山口県阿武町の弁護士に「優秀すぎ」との声(SmartFLASH) - Yahoo!ニュース



繰り返しになりますが、今町の手元にある4300万円は誤送金男の金ではなく代行会社の金である可能性が高いです。そしてこの金をそのまま町が収受してしまって良いのかは(元々は町の誤送金に始まっているという道理的にはともかく、)法的には問題がある(不当利得)、というのが私の見解です。町の誤送金によって男が金を受け取ったのと同様、今は町が言われのない金を受け取っている状態です。勿論、町(中山弁護士)の立場としては、これが誤送金男の金だったということになってしまえば丸く収まるわけではありますが。

*1:会見でも記者が何度も間違った理解のもとに質問していました。

*2:ここで報じられた町に送金された金額が3500万円という数字も、弁護士も町も発表していない謎の情報だそうです。上記会見内での弁護士談。

*3:なお、決済代行会社が自腹を切ったか確定はしていませんが、現段階でかなり可能性が高いと思っています。

*4:中山弁護士は、差押えた金額を100、滞納税金部分を5、残余金部分を95と説明していました。数字は説明のための仮であり実際の比率ではありません。

*5:クレ・サラ等の債権者がいることを確認済みとのこと。

*6:1:05:00頃「残りの部分を回収する法律構成や具体的な手続きはこれから検討する」と仰っています。

山口県阿武町4630万円誤送金事件の法的な考察

山口県阿武町の4630万円誤送金事件で町が4300万円あまりを回収したようです。

阿武町の会見

阿武町の花田憲彦町長と町の代理人を務める中山修身弁護士は24日午前、会見を開き、これまでに4299万3434円を法的に確保することができたことを明らかにしました。

中山弁護士は、田口容疑者が繰り返し出金していた3つの決済代行業者の口座の差し押さえを行ったと説明し「田口容疑者と決済代行業者は委任契約を結んでいて、公序良俗に反する取り引きをしていると判断した」と述べました。

山口 阿武町 4630万円誤給付「これまでに4299万円余を確保」 | NHK | 事件


阿武町「4299万円確保」 誤給付9割回収 決済代行3社から | 毎日新聞


どういう経緯で返還されたのかや法的根拠は記事からは詳しいことが不明、「法的に確保」という言い回しが微妙ですが、とにかく4630万円を誤送金された男(以下「誤送金男」)が利用していたオンラインカジノの決済代行会社3社から町の口座に4299万円の振り込みがあったことは事実のようです。


Yahoo!ニュースの専門家コメントに情報が。

前田恒彦

阿武町の代理人弁護士の会見で事情がだいたい分かりました。この弁護士や町役場職員が国税徴収法に基づく差押+取立+マネロン法の「疑わしい取引」にあたるぞというプレッシャーを決済代行業者に与えたところ、送金されてきた模様です。この弁護士も決済代行業者から先の金の流れについては不明とのことでした。

また、送金分全額が直ちに町のものになるわけでなく、男の滞納税に対する徴収権を超えた部分はいったん男に返し、その上で差し押さえる必要があるので、「法的に確保」という言い回しを使ったとのことです。

もし決済代行業者に資金がプールされていたとすると、本来だと返金の流れは決済代行業者→男の口座→町の口座になるはずであり、男やその代理人弁護士が承諾し、手数料節約のために決済代行業者→町の口座という「中間省略送金」が行われたのかとも思っていましたが、少なくとも男やその弁護士の関与はなかったということになります。

Yahoo!ニュース 個人オーサー前田恒彦さんのコメント - Yahoo!ニュース

阿武町は具体的な税目や金額については守秘義務の関係で明らかにしなかったもののの、男に滞納税があったので、これを徴収するということで国税徴収法に基づいて決済代行業者の口座を実質的に男の口座だとみて差し押さえ、取立を行なったとのこと。町の動きが遅すぎるという批判の声も上がっていましたが、実際には水面下であらゆる手を使って迅速に動いていたようですね。

ただ、町の徴収権が及ぶ金額は決済代行業者から送金された約4300万円のごく一部であり、それを超えた部分は法的には男の金ということになるので、いったん男に返し、その上で改めて町が差し押さえる必要があるし、町の代理人弁護士の調査では男はクレサラ業者に債務があり、もし町に送金された約4300万円が彼らによって差し押さえられると、町が被害分を全額回収できなくなる可能性もあることから、町は会見で「法的に確保」という慎重な言い回しを使っているとのことです。

Yahoo!ニュース 個人オーサー前田恒彦さんのコメント - Yahoo!ニュース


少し見えてきました。
国税徴収法に基づき差押を行なったところ決済代行会社3社がほぼ全額を「なぜか」町に振り込んできたとのこと。町の代理人弁護士もなぜかはよくわからないと会見で答えていたようです。

阿武町代理人「業者3社、なぜか満額払ってきた」 会見一問一答 | 毎日新聞



www.youtube.com


国税徴収法に基づく差押について

誤送金男が決済代行会社にお金を預けただけであり、払い戻しを受ける権利を持っていたとすればその決済代行会社を第三債務者として誤送金男の債権の差押を行ったということになります。しかし、代行会社にしてみれば誤送金男がどのような手段で入手してきた金かは知る由もなく(善意の第三者であり)、カジノの賭け金として既に費消し切っていたとすれば既に債権自体が存在しないのでその差押は無効であり、決済代行会社が町に送金してきた理由も不明。


ネットの識者のコメントでも不明瞭なところが多いですが、ポイントは以下。
①町が差押したのは本件誤送金(4630万円)とは無関係のもともとあった誤送金男の滞納税金(追記:軽自動車税国保税あたりか)。
国税徴収法に基づく差押は裁判所の許可なく徴税官吏が自力執行できる強力な権利。
国税徴収法という名前だが地方税法48条他により地方自治体の税務職員も執行可能。
④滞納税額は誤送金額(4630万円)に比べわずかな金額と思われるので、超える部分(残余金)については改めて不当利得返還請求により確定した債権に基づく差押が必要。(追記:誤送金男の認諾により債務名義が確定しているため民事執行法に基づく差押済み→配当を受ける予定。)
⑤決済代行会社が差押税額を超えてほぼ全額を町に送金してきた理由は不明。
⑥そもそも差押えた債権自体が存在しなかった可能性があるが、決済代行会社3社はとにかく町に4300万円を送金した。
⑦その場合、今度は町が不当利得を得たことになる。
オンラインカジノ運営会社と決済代行会社が事実上一体であり、賭博罪や犯罪収益移転の罪に問われる可能性(弁護士が指摘する「公序良俗に反する取り引き」)があるため金を返して終わりにしたかった可能性。
⑨その場合も金を返したからといって罪がなくなるわけではない。


法律的に大変興味深い事件ですが、やっぱり今の段階ではよくわかりませんね。


なお、前述したように、国税徴収法民法の一般原則である自力救済禁止の例外として自力執行を認めたり、一般人が行えない財産調査を職権で行えたり等、大変強力な法律です。

(差押の要件)
第四十七条 次の各号の一に該当するときは、徴収職員は、滞納者の国税につきその財産を差し押えなければならない。
一 滞納者が督促を受け、その督促に係る国税をその督促状を発した日から起算して十日を経過した日までに完納しないとき。
二 納税者が国税通則法第三十七条第一項各号(督促)に掲げる国税をその納期限(繰上請求がされた国税については、当該請求に係る期限)までに完納しないとき。

国税徴収法 | e-Gov法令検索

(質問及び検査)
第百四十一条 徴収職員は、滞納処分のため滞納者の財産を調査する必要があるときは、その必要と認められる範囲内において、次に掲げる者に質問し、又はその者の財産に関する帳簿書類(その作成又は保存に代えて電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他の人の知覚によつては認識することができない方式で作られる記録であつて、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。)の作成又は保存がされている場合における当該電磁的記録を含む。第百四十六条の二及び第百八十八条第二号において同じ。)を検査することができる。
一 滞納者
二 滞納者の財産を占有する第三者及びこれを占有していると認めるに足りる相当の理由がある第三者
三 滞納者に対し債権若しくは債務があり、又は滞納者から財産を取得したと認めるに足りる相当の理由がある者
四 滞納者が株主又は出資者である法人

保全差押という手続きでは、脱税を行った者がまだ確定申告期限を迎える前の将来払うことになる税金を税務署長が見込みで決定して直ちに差し押さえすることまで認めています。ただし、本件の誤送金男については脱税ではなく、ただ滞納していただけなので適用できないと思われます。

保全差押え)
第百五十九条 納税義務があると認められる者が不正に国税を免れ、又は国税の還付を受けたことの嫌疑に基づき、国税通則法第十一章(犯則事件の調査及び処分)の規定による差押え、記録命令付差押え若しくは領置又は刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)の規定による押収、領置若しくは逮捕を受けた場合において、その処分に係る国税の納付すべき額の確定(申告、更正又は決定による確定をいい、国税通則法第二条第二号(定義)に規定する源泉徴収等による国税についての納税の告知を含む。以下この条において同じ。)後においては当該国税の徴収を確保することができないと認められるときは、税務署長は、当該国税の納付すべき額の確定前に、その確定をすると見込まれる国税の金額のうちその徴収を確保するためあらかじめ滞納処分を執行することを要すると認める金額(以下この条において「保全差押金額」という。)を決定することができる。この場合においては、徴収職員は、その金額を限度として、その者の財産を直ちに差し押さえることができる。

差押の実務

代行業者の口座を差し押さえて大丈夫なのか?というブコメがありました。

allezvous 決済代行業者の口座だと、対象者以外の資金も入ってると思うけど、口座そのものを差し押さえちゃってほんとに大丈夫なんか?あとからすごい額の賠償請求来ないか?2022/05/24

allezvousのブックマーク / 2022年5月24日 - はてなブックマーク


債権の差押というのは、実務的には債権差押通知書(「あなたがこの人に払う予定のお金はうちが差し押さえたのでこっちに払ってください」という内容が書いてある紙)を郵送するだけです。口座を凍結したりするわけではないです。もう少し正確に言うと、差押えられたのは誤送金男の債権(代行会社の債務)であって代行会社の財産が差押されたわけではありません。

国税庁の様式はこちらお知らせ


従業員が住民税を滞納したりすると給与債権の差押として会社にこういう紙が送られてきます。
銀行預金が差し押さえられるときも他の引き落とし等と同様に「国税差押」(だったと思う)と1行印字されて強制的に持っていかれるだけです。口座に残高があればその後も普通に使えます。

本件でも、こういう紙を代行会社に送ったらなぜか払う義務のない金額まで送金してきて町も困惑、ともかく大半「確保」できたから一安心、合法的に町が収受していいのかは検討中、という感じではないでしょうか。


国税徴収法では債権を差し押えるときはその全額をできることになっていて、この規定によって滞納税額を超える金額を差し押さえたのではないかと一部で言われているようですが、これは差押債権の額が変動したりして時価の算定が困難な債権のための規定だったと思います(自信なし)。預金の場合金額が明らかなので、例えば100万円の税金の滞納があったとして口座に1億円あったら全額押さえていいのかと言ったらそんなわけないので、やはり今回は差し押さえた金額以上を代行会社が勝手に払ってきた、ということだと思われます。

(差し押える債権の範囲)
第六十三条 徴収職員は、債権を差し押えるときは、その全額を差し押えなければならない。ただし、その全額を差し押える必要がないと認めるときは、その一部を差し押えることができる。

(超過差押及び無益な差押の禁止)
第四十八条 国税を徴収するために必要な財産以外の財産は、差し押えることができない。
2 差し押えることができる財産の価額がその差押に係る滞納処分費及び徴収すべき国税に先だつ他の国税地方税その他の債権の金額の合計額をこえる見込がないときは、その財産は、差し押えることができない。


(間違っている部分もあるかもしれませんので識者は補足お願いします。)

ヤフオクの取引で普通郵便はNG! ゆうパケットも遅れてくるのでネコポスを推奨。

最近の郵便事情について、Twitterに書いたセルフまとめ。
普通郵便が当日や翌日に着いたのはもう過去のこと。同一県内でも標準で差出し日の翌々日となり、遠隔地で土休日を挟めばほぼ一週間かかることも(木曜投函→土日月の三連休を除いて3日後の配達→水曜日到着。)。ヤフオクやメルカリで購入した品を追跡のない郵便で送られると本当に届くか心配になるので、全ての出品者はヤマト運輸のネコポスや宅急便を使って欲しい。郵便局のゆうパケットは、経験上何度か遅れて来たのでネコポスを強く推奨。わずか170円(又は210円)で翌日配達、追跡、補償あり。

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ヤフオク!/PayPayフリマ おてがる配送


amazonブラックフライデーセールの備忘録(正味還元率7.5%+タイムセールで値引き)

先日までのamazonブラックフライデーセールを利用してお得に買い物できた。利用したキャンペーンが多段階で複雑だったので備忘録。


(1) 「au PAY カード」で「au PAY 残高(au PAY プリペイドカード)」へチャージ (au PAY カード通常1%還元)

カードのメリット|au PAY カード
au PAY 残高へのチャージ|au PAY カード

(2-1) 「au PAY 残高(au PAY プリペイドカード)」でamazonギフト券へチャージ (au PAY プリペイドカード通常0.5%還元)

はじめての方へ(au PAY プリペイドカードとは?) | au WALLET

(2-2) 「au PAY 残高(au PAY プリペイドカード)」でamazonギフト券へチャージ (ギフト券をクレジットカードでチャージして0.5%ポイント還元)

対象者 Amazonプライム会員で、本ページの「キャンペーンにエントリーする」ボタンを押してエントリーが完了後、1回のチャージで5,000円以上ご購入された方。
Amazon.co.jp: 2020クレジットカードギフト券チャージで0.5%ポイント: ギフト券

(2-3) 「au PAY 残高(au PAY プリペイドカード)」でamazonギフト券へチャージ (ブラックフライデー期間中、クレジットカードでも0.5%ポイント上乗せ)

(2-2) とは重複適用される旨を確認。
Amazon.co.jp: Amazonチャージ ギフト券を現金チャージで最大2.5%ポイント: ギフト券

(3) チャージしたamazonギフト券で買い物 (プライム会員+2%、Amazonアプリでの買物+3%)

Amazonは、11月26日(金)午前9時から12月2日(木)午後11時59分までの7日間のビッグセール「Amazonブラックフライデー」を開催します。

7日間のビッグセール: Amazon ブラックフライデー 2021

ポイントアップキャンペーン細則
ポイント獲得条件
[必須] キャンペーン期間中、又はキャンペーン予告期間中に当キャンペーンにエントリーしていること
[必須] Amazon.co.jpの対象商品から、キャンペーン期間中に合計10,000円(税込)以上のお買い物をすること(※1)
[下記(i) – (iii)の各条件を満たすと、満たした条件に応じてポイント還元率がアップします]
(i) プライム会員:+2% のポイントが還元されます(※2)
(ii) Amazonショッピングアプリでのお買物:+3% のポイントが還元されます(※3)
(iii) Amazon Mastercardでのお買物:通常の還元率に加えてさらに+1%ポイントが還元されます(※4)

キャンペーン期間中のお買い物でポイントプレゼント



アプリでの買物+3%は、PC画面で買う商品を吟味してカートに入れて、最後の決済だけアプリで済ませれば適用になるはず。

正味還元率7.5%+タイムセールで値引き

以上の合計で、ネット上で買い物しただけで、1+0.5+0.5+0.5+2+3=7.5%の還元率になったはず。

さらにタイムセールで元の売価も値引きになっているので通常時に比べかなりお得になった。(例えば、仕事で使うMicrosoft Office 2021オンラインコード版が20%オフだった。)